子どもの自己中心性

2018年7月2日

子どもの こころ の発達で、とても重要なポイントの一つが、
子どもは自己中心的である ということです。
それが子どもの自然な姿であり、ここをしっかり押さえないと、歪んだ、いびつな発達になって行く、等ことです。
今回は、そのことについて、記事を書いてみたいと思います。

 
 

自己中心性とは? 我がままってこと?

 
自己中、という言葉を聞いて思い浮かべることってありますよね。

自分勝手な人、人の話を聞いてない人、人の言うことを聞かない人、自分のことしか考えてない人、
コミュニケーションのとりにくい人、自分の都合ばかり押し付けてくる人

ん〜〜〜 確かに。

すべて、子どもに当てはまります(笑)

しかし、ここで言っている自己中心性、というのは、少し違う意味合いです。
ここで言っている 自己中心性 とは、

自分の観点から、物事を見ている

ということです。

生まれてからの こころの育ち

赤ちゃんは、お母さんに全く依存した状態で育ちます。
そこにある、こころの動きは、お母さんと渾然一体となっています。

気持ち悪いから泣く ⇨ 何かがやってきてその不快な状態が取り除かれる ⇨ 安らかになる
赤ちゃんは意識・無意識状態の中で、このような繰り返しの体験をしていると言われています。
自分と他の人の境界線もあまりない状態と、考えられています。
気持ち悪い、も、自分のものなのか、人のものなのか、何なのかもわからず、ただ自分の感覚が、
ソレ(ここでは気持ち悪い) に支配されている状態。世界自体が キモチワルイ。

この時の子どもの感覚は、私たちが 夢を見ている、時に近いものがあるかもしれません。
恐ろしい夢、それが、自分の世界の全てになっている状態。自分では何もできず、ただその感覚に飲み込まれている状態。

しかし、それは、 何か によって取り除かれます。

必要なお世話をされること、抱っこされること、気持ちいい状態に変わること。

目や耳、聴覚、の発達、それらの感覚の統合が起こることにより、子どもはそれが、特定の モノ によって行われていることを、気づくようになります。
お母さんです。

そして、子どもは、お母さん が別のところから、自分のところに、やって来ているということを、知るようになるのです。つまり、別の人 です。自他の分離、自分とお母さんには境目があることを知るようになるのです。
 

自他の分離 自分の視点を持つこと

こうして、子どもは、自分の視点 を持つようになります。混然一体となり、すべてが キモチワルイ に支配された世界から、他の人がやって来て、それが取り除かれる世界へと、変わっていきます。予測 が立つようになります。そして、それを行っている人が、 特定の他者 であることに、気づいていくのです。

こうして、自分 が生まれます。自分 が認識されるようになった、と言ってもいいでしょうか。

ここから子どもは 自分 を確立していく時期に入ります。
自分には何ができて、自分とはどういうもので、自分が見る、とはどういうことか、自分に聞こえる、ってどういうことか。それを体験的に経験していきます。自分がやったこと、自分が思ったこと、自分が見たこと、自分が感じたこと、自分に聞こえたこと。それらを体験し、また表出して他者と共有するようになります。

ポイントは、この時期に、しっかり 子どもの言っていることを、認めてあげることです。子どもの世界を、共有してあげることです。この時期の共有が足りないと、まずいことに、本当に 自己中 の大人になってしまいます;; 他者視点に移行していくのは、だいたい7歳くらいと言われます。そう、小学校に入る時期です。だから、その時期には、学校教育が可能になるのです。
 

かの有名なPiagetの課題

ここで、心理学的に言う、自己中心性の概念をよりご理解いただけるように、Piagetの課題をご紹介します。

3つの山のある、ジオラマがあります。その子どもの座っている位置からは、山がこう言う形で見えます。では、向かい側にいるBちゃんには、山はどういう形に見えるでしょう、と言うものです。子どもは、自分に見えているのと同じように、相手も見ているのではないか、と考えます。他者の視点に立った時に、どう見えるかがわからない、というのです。高い山の側から見ている子どもには,こちら側の低い山は見えません。

これが、幼児の自己中心性を表す、とされる代表的な課題です。

自分にはこう見えた
自分はこう思った
自分は今こうしたい

眠い、と言って、電車の中だろうが抱っこだろうが、ぱたっと眠ります。
アイスを食べると言って、ひっくり返ります。

相手の都合や事情、相手に起こることは、お構いなしです;;

しつけとの違い

では、本人が言うがままみさせるのが、自己中心性を育てる事?

自己中心性を育てるのは、大人の側が、相手の立場に立つ、という事です。子どもは、まだ発達途上で、未熟で、相手の立場に立つ、事が出来ません。だから、教えるのです。自らの身をもって。

子どもは本当に正直です。大人の言っている事には、反応していません。大人の していること の方に反応しています。空気を感じている、という表現がぴったりではないかと、思う事があります。

「それってどういう事なの?」

その本質を、肌で5感を使って、体験で感じているのです。
そして、大人が口で言っている事より、大人の真意方を、学んでいます。

相手の立場に一旦立つ。それが 子どもの自己中心性を認める、という事です。

子どもからは、こう見えているんだ〜 子どもはこう感じているんだ〜
子どもは、こう言う文脈の中にいるんだ〜

そういう事を、大人の側が自分を一旦脇に置いて、感じてあげてください。

そして、ちゃんと感じた後に、どうするか自分の行動を決めてください。

「アイスが欲しいんだね。でも今急いでおばあちゃんちに行かなくちゃならないから、また今度ね」
「(アイスが欲しいんだな) あ、電車来るよ!乗ろう!(子どもの好きな電車で話をごまかす)」

相手が、きっとこうしたいと思っているんだな、という事を、相手の立場に立って、一回認識することです。
それが、子どもの自己中心性の時代を経過させる方法です。

感じるセンサーと思い込み

しかし、自分の思い込みから、相手を感じるセンサーがずれている場合があります。

「いっつも、この子 こう!!」
「また、きっとこんな事を言ってる」

大人のそれぞれの、独自の認知のパターンというのはあります。みんなあります。
だから、子どもの見ているもの ありのまま とは違い、こちらが 自己中心的に解釈している 場合、というのはあります。

一番いいのは、子どもに聞いてみることです。

一呼吸おいて、いつもの忙しさから、いつもの生活から間合いを取って、この子がこう言っているのかな、ということを感じてみる。そして、それを、簡単な単語か、文章にまとめてください。

「悲しいのかな?」
「ビデオをお母さんが見せなかったから、怒っているの?」
「まだ、アイスが食べたいの?」

などです。そして、それを子どもに聞いてみてください。親が真摯な気持ちで聞いている時は、子どもには伝わるものです。そしてびっくりするような、情報を教えてくれることがあります。ああ、この子、本当はこう言うことを考えていたんだーーーー 

ことばで伝え会えたら、素敵ですよね。お互いを、よく知ることができたら、楽しいですよね。親子、と言っても、別の人間なのですから。

ここが、自他の分離です。親の方が、いつも子どもを自分の方に巻き込んでいたら、親が自他の分離ができていないってことです。だから、大人が自分の事を分かっている事が大切なのですが、これはまた別の記事で書きます。大人の側がその体験を、完了している必要性があるのです。
大人の側が、逆三角ピラミッドだったり、あるいは一部抜け落ちている部分などがあると、どうしても子育ては難しくなってしまいます。

子どもは体験したことしか、できるようになりません。
親が、先に「他者視点に立つ」(子どもの立場に立つ) ということを子どもに体験させてやるからこそ、子どもはその本質的な意味を受け取り、次に自分がそれを行うようになっていくのです。
「○○しなさい!!」「Bくん、たたいちゃダメ!!」

子どもの 子どもから見えた世界を共有してますか?

それが、躾、ということです。

子どもの発達は、いつも INが先 OUTが後、です。

体験したことしか、自分で行うようにはなりません。この法則については、また別の記事でしっかり書きますね。

「躾のつもりでやった」見るも聞くも痛ましい、虐待のニュースを耳にします。
相手の立場に立てるように、自分が発達していること。
そのための、こころのゆとりがあること。これが,とても大切です。

だから、幼児のうちに必要なことは、幼児のうちに済ませておく必要があります。
しっかりした、ピラミッドを築くには、土台が大切です。
逆三角形のピラミッド。考えただけでも恐ろしいですね。すぐにひっくり返りそうです。

そして実際、そのように大きくなっている子どもが、本当に多いのです。思春期、青年期になり、そのバランスが崩れます。暴れる発達障害と言われる子ども、不登校、他者と関われない、コミュニケーションが下手、何もやる気が出ない、反社会的な言動。これらの問題を扱っていて、この、幼児期の当たり前の自己中 を、自然に経過させてもらっていない子どもの、何と多いことかと、びっくりさせられます。その時代に、おそらく要因の一つがあると、推定される子どもが、問題行動と言われるものを現す子どもの中に、とても多いのです。

もちろん、大きくなってからやり直す方法もあります。だから、絶望した気持ちにはならなくて大丈夫なのですが、子ども時代に積み上げられなかったものの 負の遺産 が何と大きいことか。これには大人が自覚的になる必要があると思います。なので、今できることのある方には、それをお知らせしておきたいと心底思い、この記事を書いています。

しかし,発達に通常でない状態が混じっていることがあります。その場合には、ただ発達を経過させるだけでなく、特有のアプローチや配慮が必要になる場合があります。あまりにも、お子さんの 自己中心性 身勝手さ、のようなものがすごい、という場合は、専門家にご相談ください。お母さんの相性との関係である場合もあります。そのような場合、自分だけの力でやり抜こうとすると、かえって状態が悪くなることがあります。専門家にご相談されることを、お勧めします。

最後までお読み頂き,ありがとうございます。

こころとことばのセラピスト
清水宏美